JU愛知「オートリース勉強会」
― 軽自動車の新車リースで、少人数の店でも回る売り方
この記事のポイント(要約)
なぜ組合がリースの勉強会を続けているのか
中古車販売店にとって、リースは「売って終わり」の商売から抜け出すための現実的な手段です。人手が足りない、仕入れ資金が重い、管理ユーザーが減っていく ― この3つは規模の大小を問わず多くの店が抱えている悩みで、リースはそのいずれにも効きます。JU愛知が単発の講演で終わらせず、講師を替えながら勉強会を重ねているのはそのためです。
以下、機関誌に掲載された3回分のレポートから、販売店がそのまま持ち帰れる中身を順にまとめます。
大薮聡専務(大薮自動車工業)― 軽四新車リースという選択
講師の大薮聡専務は、JUクレジット年間グランプリを受賞した実績を持ちます。もともとは輸入車中心の販売会社でしたが、人手も資金も要らずに顧客と売上を確保できるという理由からリースへ舵を切った経緯を語りました。
大薮専務が挙げた軽四新車リースの利点は、次のとおりです。
- 仕入れコストがかからない。 在庫として資金を寝かせる必要がありません。
- 商品化(加修)が不要。 中古車のように仕上げの手間と費用が発生しません。
- 1本の契約が5つの仕事を抱える。 販売・買取・整備・車検・保険をまとめてカバーできます。
- 7年リースなら半年ごとに接点ができる。 点検・車検のたびにお客様と会える関係が続きます。
- 事故が起きても保険料が上がりにくい。 任意保険の長期割引が効くためです。
「全部をリースにしよう」としない ― 専門カウンターから始める
この回でいちばん実務的だったのは、やり方を変えずに全車両・全顧客へリースを広げようとしても、成功率は低く現場が混乱するという指摘でした。大薮専務が勧めたのは逆の順序です。
軽四の新車リースに絞る。そのうえで専門店を別に構えるか、社内にリース専門のカウンターを1つ置く。展示も最初は数台に絞る ― この始め方なら、いまの商売を止めずに新しい柱を立てられます。この助言を聞いて「それならうちでもできる」と受け止めた参加者が多く、実際に動き出すきっかけになりました。
もっとも、質疑では現場の迷いもそのまま出ました。受講者からの15件の質問に大薮専務は一つずつ丁寧に答えましたが、「うちも軽四リースに特化したから」「すべてのお客様を失ってもいい覚悟で始めた」という言葉が繰り返され、転換に踏み切る側と迷う側の距離が浮かび上がる場面もありました。表情は穏やかでも、舵を切るということの重さが伝わる回でした。
沼尾好彦副社長・さおり氏(くるまの沼尾)― 少人数でも回る仕組み
続く2回は、JU埼玉メンバーショップ・くるまの沼尾(株)の沼尾好彦副社長と沼尾さおり氏のご夫妻が講師を務めました。第2回は3月10日、TKPガーデンシティPREMIUM名駅西口で開催されています。リース実績で全国第1位という店の中身が、隠さずに公開された内容でした。
「盛らない、嘘をつかない、期待を裏切らない」
沼尾副社長が繰り返したのは、リース販売の成否は信頼関係で決まるという一点です。来店客だけでなく、JCや異業種交流会の仲間にも毎日のようにリースとローンの違いを説明し、相手がどこで分からなくなるかを確かめながら説明の技術を磨いたといいます。
キーフレーズは「5年間を安心に、5年後にワクワクを」。そして基本姿勢が「盛らない、嘘をつかない、期待を裏切らない」です。「期待を裏切る売り方は、長い目で見れば失敗」という言葉が、講演の結びに置かれました。
「紙芝居方式」― 誰が接客しても説明が揃う
説明の中身はマニュアル化されています。沼尾副社長が自社で作った「紙芝居方式」のマニュアルは、話が脱線してもどこからでも再開できる構成になっているのが特徴です。属人的な話術に頼らず、誰が接客しても同じ説明が届く状態を作ってあるため、スタッフが少ない店でも品質が揃います。
残価設定と「4つの出口」を先に見せる
お客様が不安になるのは、契約の終わりがどうなるか分からないからです。沼尾副社長は、リース期間満了時の選択肢を4つの出口として最初から示します。
- ①契約更新(新車に乗り換える)
- ②契約延長(同じ車両に乗り続ける)
- ③買い取り(そのまま自分のものにする)
- ④返却
この4つをお客様のライフプランに合わせて説明すると、納得感が生まれます。あわせて、残存価格の保証は走行距離と損傷の程度で変わること、だからこそ安全運転と定期メンテナンスが効いてくることを伝えます。事故で修理した場合も任意保険に入っていれば等級ダウンを避けられる点は、納得してもらえるまで説明を続けるとのことでした。
「3つの基礎知識だけ覚えればいい」― 女性スタッフの立ち上がり方
さおり氏の話は、人手不足に直面している店にとってそのまま参考になります。リース販売に関わって2年。もともと自動車の知識は少なく、リースの仕組みも知らず、最初は「無理」と断っていたといいます。
転機になったのは、夫の「新車、軽自動車、リース ― 3つの基礎知識だけ覚えるだけでいい」という一言でした。さおり氏はこれを「魔法の言葉」と呼びます。実際、OALの計算システムを使って残価設定の練習を重ね、走行距離が残価にどう効くかを自分で算定するところまで学びを進めました。
結果として、女性目線での接客と保険のメリット説明で8割近くのお客様がオプションを付けるようになり、80組のお客様と接してきました。リース販売には値引き交渉がないため、駆け引きではなくお客様の満足と笑顔に向き合える ― それが楽しみだと語っています。
実績と、「五方よし」という考え方
数字の裏付けもあります。再リースの継続率90%、リース車両管理台数750台(OAL車両のみ)。軽自動車の新車リースに特化したことで、短期間での立ち上げが可能になったという説明でした。
沼尾副社長はリース販売を「五方よし」のビジネスと表現します。お客様・スタッフ・会社・取引業者・地域の5者が満足する商売である、という意味です。質疑応答でご夫妻の仲の良さを問われた副社長が「コロナ禍で関係性が良くなり、リースで関係性が深まった」と照れ笑いを浮かべる場面もありました。
販売店にとっての読みどころ
3回分を通して、共通していたのは次の点です。
- まず絞る。 全車種・全顧客ではなく、軽自動車の新車リースに的を絞る。専門カウンター1つ、展示は数台から。
- 説明を仕組みにする。 話術ではなくマニュアル(紙芝居方式)で揃える。だから少人数でも品質が落ちない。
- 終わりを先に見せる。 4つの出口と残価の決まり方を最初に説明することが、そのまま信頼になる。
- 人手不足への答えになる。 知識が浅いスタッフでも3つの基礎から入れる。仕入れも加修も不要なので、少ない人数で回せる。
- 接点が続く。 1本の契約が販売・買取・整備・車検・保険を抱え、点検と車検で半年ごとにお客様と会える。
JU愛知では、こうした実務ノウハウの共有を単発で終わらせず、講師を替えながら継続して開催しています。組合員が同じ知見を持ち帰り、店ごとに合った形で実践していく ― この積み重ねが、愛知のJU加盟店の販売品質を支えています。