保険を「丸投げ」から「自社対応」へ
― 株式会社スギモトの実例発表(令和7年度 全店対象研修 第3弾)
この記事のポイント(要約)
「変化にチャレンジする気構え」 ― 中島講師の講義から
研修の前半で中島講師が取り上げたのは、人が変化を嫌う理由でした。
人間は本来、心も体も一定の状態を保とうとする生き物です。だから変化に対しては不安や嫌悪感を覚える ― それ自体は自然なことだといいます。しかし、と講師は続けます。変化しないものは無い。変化しようと努めない者に成長は無い。
厳しい業界環境のなかで生き抜くには、変化に対応し続けるしかありません。ただし、周囲や環境の変化に受け身で対応するだけでは明るい未来は開けないとも指摘しました。お客様や社会の声に耳を傾けたうえで、自らの意思で変化にチャレンジしていくこと ― これがこの日の研修全体を貫くテーマになりました。
実例発表 ― 保険業務を外注から自社対応へ
その考え方を、実際にやってみせた店の話として発表したのが株式会社スギモトです。発表者は同社の藤井さんと建部さんのお二人でした。
「収益3本柱」を立てるという判断
同社ではこれまで、保険業務は外注に任せていました。それを自社で取り組む方針に切り替えます。狙いは、車販・保険・リースという3本の柱で収益を作る体制を築くことです。
車を売った時だけ利益が立つ商売から、保険とリースで継続的にお客様と関わり続ける商売へ。前段で中島講師が語った「自らの意思で変化する」を、そのまま事業構造に当てはめた判断といえます。
きっかけは社長の変化、動いたのはスタッフ
この転換のきっかけになったのは社長自身の変化でした。そこからスタッフを巻き込み、資格の取得と接客体制の見直しを並行して進めていきます。
結果として起きたのは、収益構造の話にとどまりませんでした。お客様との距離感が縮まり、商談の密度が高まったのです。保険の話ができるということは、お客様の暮らしや家族のこと、事故が起きた時の不安にまで踏み込んで話せるということでもあります。
保険を担当する建部さんは、お客様ごとの個別資料を作り、ていねいに説明することを続けています。その積み重ねが信頼になり、満足度の向上につながっている ― 発表ではそう報告されました。
研修を通じた「仲間」の力
この発表でもうひとつ印象的だったのは、変化を後押ししたのが組合の仲間だったという点です。
同社の杉本社長は、組合の青年部会や委員会活動を通じて、先輩や仲間から多くを学んできました。さらにオリジナル研修に継続して参加するなかで社長自身の意識が変わり、スタッフとの連携も深まって、会社全体のムードと仕組みががらりと変わったといいます。
藤井さんの言葉が、その変化をよく表しています。
「社長と一緒に勉強できるようになり、他社の経営者やスタッフと仲良くさせていただいたことで、会社全体の雰囲気が変わった」
研修は、知識を受け取る場であると同時に、信頼できる仲間と出会い、その存在によって変化を実現していく場でもある ― この日の発表が示したのはそういうことでした。
販売店にとっての読みどころ
- 収益の柱を1本にしない。 車販だけでなく、保険・リースを自社の仕事として持つ。買い替え周期が延びている以上、販売と販売の間をどう埋めるかが利益を分ける。
- 外注をやめる決断は、接客の質にも効く。 保険を自社で扱えば、お客様の事情に踏み込んで話せる。距離が縮まり、商談が濃くなる。
- 変化は社長から始まり、スタッフの資格と体制で形になる。 掛け声だけでは動かない。
- ひとりで変わろうとしない。 同じ業界で同じ悩みを持つ仲間と学ぶ場があることが、実際に踏み出せるかどうかを左右する。
JU愛知では、こうした実際にやってみた店の話を全店対象研修の場で共有しています。理屈だけでなく、同じ愛知の販売店が踏んだ手順と、その結果までを持ち帰れる ― これが組合の研修が続いている理由のひとつです。