勝つたびに桜を植えた
― JUクレジット取扱高 全国1位を8年連続。JU愛知「年間王者」と8本の記念樹の記録
この記事のポイント(要約)
JUクレジットとは ― 昭和59年に始まった「組織のローン」
まず前提から。JUクレジットは、JU中販連(全国組織)が信販会社のオリエントコーポレーション(オリコ)と提携して運営する、全国統一の組織クレジットです。加盟店の店頭で中古車をローンで買うとき、その受け皿になっている仕組みのひとつです。
成り立ちは昭和にさかのぼります。機関誌に載ったJU中販連・山下常務理事の講演によれば、昭和56年に構築された5信販体制が、大手信販各社の独自の囲い込みによって組織クレジットとして機能しなくなり、崩壊。その中で当時の難波会長がオリコに直談判し、「全国会員の面倒を見る」という約束を取り付けて、昭和59年(1984年)6月に新たな中販連クレジットがスタートしました。これが今日のJUクレジットの基盤です。
この仕組みには、単なる提携ローン以上の意味があります。オリコから受け取る手数料の一部が全国のJU組織に還元され、オークション未開催の県やオークション規模の小さい地域にとって貴重な収入源になっているのです。還元された資金は、クレジット関連ツール、キャンペーン褒賞金、小売振興ツール、WEB、研修・講習の予算に充てられています。つまり加盟店がJUクレジットを使うほど、業界の研修や小売振興に資金が回るという循環が組み込まれています。
平成27年度、初めての全国第1位(V1)
JU愛知が年間取扱金額部門で初めて全国第1位に立ったのが平成27年度(2015年4月〜2016年3月)です。翌平成28年6月20日、名古屋マリオットアソシアホテルで開かれた年間表彰式には、実績上位店とJU愛知・オリコの関係者ら総勢67名が参加しました。
オリコの執行役員は、この初戴冠を「年間取扱金額部門の全国第1位としては(参考記録ながら)21年ぶり。現在の年間総合ポイント制度が導入された平成22年度以降では、金額のみならず件数・リース・カード実績を含めた年間総合ポイントでも総合トップ」と評しています。しかもこの年は、オータムキャンペーン・スプリングキャンペーンの金額部門でも連続全国1位となる「秋春連覇」のおまけ付きでした。
当時の加藤理事長は表彰式の挨拶で「今春は全国を牛耳った」と勝利宣言をしています。ただし誌面は同時に、小売市場の冷え込みが厳しいことを踏まえ「派手なアトラクション等は行わず、粛々とセレモニーを進めた」とも記しており、浮かれた祝勝会ではなかったことを書き残しています。
「偉業を後世に見える形で」― 桜の記念植樹が始まる
この初戴冠を記念して始まったのが、オークション会場敷地への桜の記念植樹です。当時の金融委員長(後の理事長)が「年間取扱金額全国1位の偉業を、後世に見える形で伝えたい」と企画したもので、平成28年12月に初代「河津桜」が植えられました。
以後、年間王者を防衛するたびに1本ずつ桜が増えていきます。植樹はオールJU中部(後に全国)リレージャンボオークションの開催中に行われ、金融委員会メンバー、執行部役員、オリコ関係者、事務局職員が金色のスコップで土を盛るのが恒例になりました。8年分を並べると、こうなります。
| 王座 | 対象年度 | 記念樹 | 植樹の記録 |
|---|---|---|---|
| V1 | 平成27年度 | 初代 河津桜 | 平成28年12月 |
| V2 | 平成28年度 | 2代目 染井吉野(ソメイヨシノ) | 平成29年11月9日 |
| V3 | 平成29年度 | 3代目 神代曙 | 平成30年11月8日 |
| V4 | 平成30年度 | 4代目 天の川 | ― |
| V5 | 令和元年度 | 5代目 大島桜 | 令和2年(誌面に日付記載なし) |
| V6 | 令和2年度 | 6代目 仙台枝垂 | 令和3年11月11日 |
| V7 | 令和3年度 | 7代目 八重紅枝垂 | 令和4年11月10日 |
| V8 | 令和4年度 | 8代目 吉野枝垂 | 令和5年11月9日 |
樹種の選び方にも工夫があります。3代目「神代曙」の植樹の際、誌面は「開花時期の違いにより、長期間にわたり桜を楽しむことができるよう工夫された」と説明しています。早咲きの河津桜から染井吉野、そして八重咲きのシダレザクラ2本(仙台枝垂・八重紅枝垂)へ。V2の記事には「桜を植えるスペースはまだまだ残っている。さぁ、年間王者V3に向かって一路邁進」という一文があり、植樹そのものが翌年への檄として機能していたことが分かります。
そして8代目「吉野枝垂」の植樹記事には、「会場スペースの都合により、8代目が最後の記念樹に」と記されています。8年かけて、植えるスペースを使い切ったのです。
数字で見る8年 ― 宿敵はJU埼玉だった
8年間、王座は安泰だったわけではありません。誌面が一貫して「宿敵」と呼ぶのがJU埼玉です。機関誌に残る取扱金額の記録を拾うと、次のようになります。
| 年度 | JU愛知の年間取扱金額 | 誌面に残る記録 |
|---|---|---|
| 平成30年度(V4) | 252億0,159万円 | 前年比107.6%で首位維持 |
| 令和元年度(V5) | 258億3,795万円 | 当時のグループ記録。JU埼玉に41億円超の差 |
| 令和2年度(V6) | ―(前年割れ) | コロナ禍で減少も首位維持。埼玉との差は4億8,671万円まで縮小 |
| 令和3年度(V7) | 258億9,810万円 | 前年比26億7,087万円増(+11.5%)。埼玉に4億6,176万円差。元年度の記録を6,015万円更新 |
| 令和4年度(V8) | 295億8,021万円 | 前年比114.2%。埼玉に18億3,187万円差。2年連続で記録更新 |
とくに際どかったのが令和2〜3年度です。コロナ禍で市場が冷え込んだ令和2年度は前年割れとなり、息を吹き返したJU埼玉がクレジット部門単体ではわずかに上回る場面もありました。誌面は令和3年度を「年度末まで2強のマッチレースが続く死闘」と予告し、実際に半期別で見ると上期はJU埼玉が111億台のJU愛知を僅差でリード、下期にJU愛知が132億0,815万円で逆転という展開でした。
それを制した令和3年度のV7は、半導体不足による新車入手難・中古車のタマ不足・コロナ禍という環境下で、令和元年度のグループ最高記録を塗り替えるおまけ付き。誌面は「とんでもない快挙と断言できる」と書いています。翌令和4年度はさらに伸ばして295億8,021万円。下期単独で147億3,881万円と加速し、8年目にして最大の差で王座を守りました。
なお、あわせて取り組んできたJUオートリースでも、JU愛知は新車入手難の逆風の中で全国3位の実績を維持しています(令和4年度実績16億7,641万円・達成率76.7%)。リース販売のノウハウはオートリース勉強会として加盟店に展開されています。
買う側にとって「取扱高日本一」は何を意味するか
取扱高の日本一は、それ自体は業界内の表彰の話です。ただ、車を買う立場から見ても読み取れることが3つあります。
ひとつ目は、加盟店がローン販売に慣れているということ。年間250〜295億円という取扱高は、愛知の加盟店の店頭で日常的にローン相談・与信手続きが行われていることの裏返しです。支払いプランの提案や手続きに習熟した店が多い、と読むことができます。
ふたつ目は、組織的な支援が回っていること。前述のとおり、JUクレジットの手数料還元は研修・小売振興ツール・キャンペーンの予算に充てられます。取扱高日本一の愛知は、その循環がもっとも太く回っている地域のひとつです。実際、この間にJU愛知は車の維持費用をローンに組み込める「安心コミコミプラン」などの取扱いも増強してきました。
3つ目は、これが一過性ではないこと。8年連続という記録は、特定の店・特定の年の瞬間風速では作れません。適正販売店制度やJU愛知保証と同じく、組合ぐるみの継続的な取り組みの結果です。
オークション会場に並ぶ8本の桜は、いわばその記録の実物です。誌面の言葉を借りれば、桜は「偉業が次代の後輩たちにきちんと伝わるよう」植えられた「心の拠り所」。春に8本が順に咲いていく姿は、8年分の店頭の積み重ねの証ということになります。