「JU愛知保証」BASIC・PLUS
― 組合が保証料を負担する中古車保証は、どう生まれ、どう広がったか
この記事のポイント(要約)
始まりは「メリットが見えない」という声だった
この保証は、保険商品として上から降ってきたものではありません。出発点はJU適正販売店制度をめぐる現場の不満でした。
認定店が思うように増えなかった最大の理由として誌面が挙げていたのが「メリットが見えない」という声です。これに向き合うため、JU愛知の小売振興委員会は令和元年から「ぶつけ合おう本音 さらけ出そう心根」をテーマにしたサバイバルセミナーを定期開催し、加盟店の生の声を集めました。
そこで出てきたのが「愛知独自のメリットを創出してほしい」「オークションとのコラボ企画がほしい」という要望です。この2つを同時に満たす答えとして設計されたのが、JU愛知オークションで落札した車両に、組合の予算で保証を付けるという仕掛けでした。
令和3年1月、800万円の試験導入
試験導入は令和3年1月7日から3月末日まで。JU愛知オークションで落札した車両に、EGS保証の「ライトプラン」を無料で付けるというものでした。
内容は次のとおりです。
・保証対象 ― エンジン、エアコン、ステアリング、ブレーキなど154部品
・保証期間 ― 1年
・免責金額 ― 3,850円
・保証料 ― 組合が全額負担(販売店の負担0円)
・予算 ― 800万円(平均保険料ベースで約270台分を想定。予算が尽き次第終了)
保証会社との交渉で決め手になったと誌面が書いているのは、「JU愛知オークションの品質評価」「組合が保険料を負担すること」「適正販売店の信頼性」の3点です。オークションの検査体制と、認定制度で店の質が担保されていることが、保証料の設定に効いたという説明になります。外から見れば適正販売店のメリットは顕著だという評価が、そのまま組合員へのメッセージになりました。
令和2年12月の講習会 ― 参加者全員がその場で加盟
この仕組みが組合員に披露されたのが、令和2年12月14日に名古屋市中村区で開かれた令和2年度 JU適正販売店向上講習会(サバイバルセミナー)です。適正販売店26社に小売振興委員2社を加えた28社・28名、これにEGS(株)の土屋社長ら2名、事務局職員3名、取材スタッフ1名を加えた総勢34名が、3時間にわたって議論しました。
参加者の評価が高かったのが、ATの故障時にフルード代を、エアコン修理時にガス代を「付随交換部品」として請求できるようになった点です。修理の現場では、部品を替えれば必ず出る費用が保証の対象外になり、その分が店の持ち出しになる ― という不満が付きまといます。そこを埋めた改定でした。
結果として講習会終了時点で参加者全員が加盟申請を完了。「来年度以降も継続展開できるように予算を組んでほしい」という声が相次ぎました。同じ場で兼松理事長は「適正販売店を100社まで増強し、ブランド力を高めていく」と呼びかけ、高垣小売振興委員長は「愛知独自の指針と施策を全国に発信しよう」と述べています。
あわせて行われたグループディスカッションでは、「お客様目線で何が適正かを明確にすべき」「総額表示の在り方を徹底的に追求すべき」といった意見が出ました。「前回はメリットを求める意見が多かったが、今回は前向きな提言が続出した」という参加者の感想が誌面に残っています。保証という具体的な仕掛けが1つできたことで、議論の質そのものが変わったことがうかがえます。
3つのプランと、対象になる車
本格運用となった令和3年度以降、プランはライト・スタンダード・プラチナの3種類から選ぶ形になりました。保証範囲は80〜406部位で、プランによって変わります。組合の負担はライトプランなら保証料が原則0円(全額組合負担)、スタンダード・プラチナでも差額分を組合が負担という設計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象車両(中古国産車) | 15年未満・走行15万km以下(軽自動車は20年未満) |
| 対象車両(中古輸入車) | 13年未満・走行10万km以下 |
| 保証期間 | 国産車1年/輸入車6か月 |
| プラン | ライト/スタンダード/プラチナ(保証範囲80〜406部位) |
| 令和3年度の予算 | 500万円(全額または差額負担の特典は予算枯渇次第終了) |
販売店側から見た導入メリットとして保証会社が挙げていたのは、①契約料・ランニングコスト0円 ②基本保証料に粗利を上乗せできる ③外部鑑定や点検記録の提示が不要 ④保証期間の延長ができるの4点です。とくに③は、他社の保証で手間になりがちな部分を省いた設計で、後述するBASICの「書類2点だけ」につながっていきます。
試験期間(3か月)の実績は16社25件でした。決して大きな数字ではありませんが、ここから年間通年の運用へ移行します。
BASICとPLUS ― 全組合員へ開かれる
大きな転換は令和4年10月です。それまで適正販売店に限られていた利用が、適正販売店以外の組合員にも有償で開放されました。非適正販売店向けの条件は、免責期間20日、保証料の支払いは請求書発行から2週間以内、加盟料は月額1万円(税別)と、適正販売店とは別建てになっています。
これにより、現在の2本立てが固まりました。
| BASIC | PLUS | |
|---|---|---|
| 対象 | 全組合員店 | JU適正販売店 |
| 内容 | 販売(故障)保証サービスを簡単な申込みで利用できる | 組合負担対象車両を小売する場合、保証料の一部(上限1万円)を組合が補助 |
| 必要書類 | JU愛知保証申込書と車両チェックシートの2点のみ(鑑定・法定点検・点検記録簿は不要) | |
PLUSの補助対象は、JU愛知オークションの落札車両および自社名義での出品・流札車両(書類不備の流し車を除く)で、保証契約日から遡って6か月以内のものです。補助額は保証料のうち1万円まで(1万円未満ならその実額)。予算額に到達した時点で終了となるため、誌面は毎回「お早めに」と案内しています。補助の期限は令和5年3月31日 → 令和7年3月31日と延長が重ねられてきました。
国産車には「新車延長保証」も付けられる
もうひとつの拡張が、国産車限定の新車延長保証です。まだメーカー保証の残っている高年式車を扱う場合に、その先を延ばすという商品です。
・加入条件 ― 3年未満かつ走行6万km以下
・保証期間 ― 5年または7年(名義変更日を起算日とする)
・免責期間 ― 20日間
・走行距離の上限 ― 保証期間内10万kmまで
・対象部位 ― メーカー保証に準拠
・上限金額 ― 車両本体価格
・対象外 ― 輸入車およびレクサス
・ロードサービスは付帯しません
買う側にとっては、「新車から7年目まで、メーカー保証と同じ範囲で守られる」という分かりやすさがあります。上限が車両本体価格である点、ロードサービスが付かない点は、購入時に確認しておきたいところです。
店頭でのPRと、問い合わせ先
JU愛知はこの保証の周知にも力を入れており、令和4年10月6日の「秋のジャンボAA」では、チラシ配布に加えて相談カウンターを設置。午前9時から正午まで保証会社の担当者が常駐し、組合員からの相談に直接応じました。
利用にあたっては、事前に保証会社プレミアワランティサービス株式会社(旧・EGS株式会社)への加盟申請が必要です。詳細はJU愛知事務局が窓口になっています。
買う側にとって、この仕組みは何を意味するか
中古車の保証は、店ごとに付いたり付かなかったり、内容もばらばらというのが実情です。JU愛知保証が意味を持つのは、組合という第三者が保証会社と交渉して条件を決め、保証料の一部を負担してまで加盟店に使わせようとしている点にあります。
組合が保証料を負担するということは、その保証が使われたほうが組合にとって望ましいと判断しているということです。故障で揉める店が減れば、業界全体の信用が上がる ― 交通遺児支援や不正改造車の排除と同じ、業界の信用を守るための投資として設計されています。
中古車を検討するとき、「この車に保証は付きますか」「JU愛知保証は使えますか」と聞いてみるのは、店の姿勢を知るうえでも有効な質問です。