交通遺児支援38年、累計5,000万円超
― JU愛知「交通遺児チャリティーキャンペーン」の記録
この記事のポイント(要約)
累計額の推移 ― 誌面が記録してきた数字
年度末の寄贈時に、機関誌はその年度の浄財額と、昭和63年度からの累計額を毎回掲載してきました。判明している分を並べます。
| 年度 | その年度の浄財 | 累計(年数) | 特記 |
|---|---|---|---|
| 平成28年度 | 158万7,454円 | 4,018万7,558円(29年間) | 3年連続150万円超・累計4,000万円突破 |
| 平成29年度 | 211万4,738円 | 4,230万2,296円(30年間) | 16年ぶりに200万円台 |
| 平成30年度 | 206万円余 | 4,436万2,330円 | 2年連続200万円台 |
| 令和元年度 | 122万3,082円 | 4,558万5,412円(32年間) | コロナ禍で寄贈式を中止し口座振込に |
| 令和3年度 | 110万2,179円 | 4,756万1,795円(34年間) | 3年ぶりに寄贈セレモニーを実施 |
| 令和5年度 | 141万9,232円 | 5,018万2,173円(36年間) | 累計5,000万円突破 |
平成28年度の記事は、累計4,000万円の突破を「大台突破の金字塔」と書いています。翌平成29年度には単年で211万4,738円と16年ぶりに200万円台を回復。その後、コロナ禍で単年額は100万円台に落ちますが、1年も止めなかったことで令和5年度に累計5,000万円を超えました。
各年度の浄財は、その全額が中日新聞社会事業団、公益財団法人 東海交通遺児を励ます会、公益財団法人 交通遺児等育成基金(NASVA名古屋主管支所を通じて)、一般財団法人 愛知県交通安全協会 蟹江支部の4機関に振り分けられています。蟹江支部への寄贈は蟹江警察署長の立会いのもとで行われた年もあり、また寄贈の様子は中日新聞の朝刊に掲載されるなど、活動そのものが県民への交通安全の呼びかけにもなってきました。
浄財はどう集まるのか ― チャリコンの仕組み
浄財の主な源が、年1回の交通遺児チャリティーゴルフコンペ(チャリコン)です。単なるゴルフコンペではなく、集金の仕掛けが幾重にも組み込まれています。
・参加費からの拠出 ― 参加費にあらかじめチャリティー浄財代が含まれる
・チャリティーホール募金 ― 指定ホールで「50ヤード以上飛ばしたら」「ワンオンに失敗したら」1,000円以上を拠出するなど、その場のプレーに連動した募金ルール
・チャリティーオークション ― プロゴルファーの使用品や銘酒などを出品
・10支部からの寄付金 ― 各支部が「期首の支部員数×1,000円」を拠出(令和元年度は合計59万2,000円、令和2年度は58万2,000円)
・協賛金 ― 賛助会・関係会社からの拠出(第32回は17万円)
平成28年の第25回では、募金は参加費の一部に加え、ドラコン・ニアピン対象ホールでの飛距離・オン成功に応じた1,000円の寄付、そして事務局職員3名の交替募金で集められました。誌面には「ゴルフパンツのポケットに2枚の千円札を入れてラウンドされた方もおり、汗を吸い込んだ募金箱は昼過ぎにはパンパンに膨らんだ」という一節が残っています。
歴代チャリコンの記録
| 回 | 開催 | 会場 | 参加 | 浄財・特記 |
|---|---|---|---|---|
| 第25回 | 平成28年9月26日 | 東海カントリークラブ(豊川市) | 126名 | 77万3,000円(前年83万2,481円)。東三河地区が参加者の3分の1 |
| 第26回 | 平成29年10月10日 | クレセントバレーカントリークラブ美濃加茂 | 112名 | 124万8,400円。チャリティーホール3か所。初の支部対抗戦は小牧支部が圧勝 |
| 第27回 | 平成30年 | ― | ― | 27回目にして初のホールインワン達成。松田委員がベスグロ |
| 第28回 | 令和元年10月15日 | 東海カントリークラブ(豊川市) | 最大40組募集 | 組合設立40周年記念大会。参加費15,000円(前年比3,000円安) |
| 第29回 | 令和2年10月13日 | ウッドフレンズ名古屋港ゴルフ倶楽部(弥富市) | 30組120名募集 | コロナ対策で前半9ホールのみ・表彰式とパーティーは中止。参加費11,000円 |
| 第30回 | 令和3年12月14日 | レイクグリーンゴルフ倶楽部(岐阜県御嵩町) | 81名 | 2年ぶりの開催。前半9ホールのみの変則開催 |
| 第31回 | 令和4年10月24日 | レイクグリーンゴルフ倶楽部 | 79名 | 51万5,200円(前年比8万3,200円増) |
| 第32回 | 令和5年11月6日 | 日本ラインゴルフ倶楽部(岐阜県可児市) | 103名 | 58万2,020円(協賛17万円+参加費拠出30万5,020円+ホール募金10万7,000円) |
| 第34回 | 令和7年度 | ― | 122名 | 募金総額68万4,000円(詳細は第34回の記事へ) |
回を追うと、コロナ禍での判断がよく分かります。令和2年の第29回は、対象を前半9ホールのみに絞り、チャリティーホールも1か所(OUT1番)に限定、表彰式とパーティーは開かずプレー終了後に賞品を渡して自由解散。参加費も前年比4,000円安の11,000円に下げています。それでも開催そのものは止めませんでした。翌令和3年度は開催が12月にずれ込み、参加者は81名まで減りましたが、2年ぶりの再開に「懐かしさと喜びが溢れた一日」と記されています。
お金だけではない ― 「交通遺児を励ます大会」への参加
JU愛知の関わりは寄付だけではありません。公益財団法人 東海交通遺児を励ます会が毎年12月に開く「交通遺児を励ます大会」にも、役員が公務として参加し続けています。
第53回(令和元年12月)は約150名が参加。遺児の作文発表とクリスマスパーティーが行われ、吉野会長が「好奇心を持って毎日を」と呼びかけました。この年、愛知県の交通事故死者数は156人(前年比33人減)で、17年ぶりにワースト返上を果たしています。
令和2年はコロナ禍で大会そのものが中止になりました。それでもJU愛知は、恒例のジャイアント・ポッキー60箱と図書カード1,000円分を贈っています。この贈り物は平成23年から続いてきたもので、誌面は「数の減少にかかわらず、想いを込めた内容に進化している」と書きました。会えなくても、届けるものは止めないという判断です。
第54回(令和3年12月19日)は、クリスマスパーティーを中止しセレモニーのみで実施。参加は25世帯・遺児31名を含む107名でした。遺児による交通ルール遵守と自動運転普及への提言、保護者が語る苦悩と再生、そしてOGの母子和解と結婚報告 ― 誌面はこれらを「感動を呼んだ」と伝えています。
第55回(令和4年12月18日)では、高校生の代表が「ここには優しく手を差し伸べてくれる人たちがいる」と感謝を述べました。同じ年、愛知県の交通事故死者数は前年比20人増の137人で全国2位。数字が悪化した年に、この言葉が誌面に記録されていることの意味は小さくありません。
なぜ中古車業界がこれを続けるのか
誌面が繰り返し掲げてきたのが、「交通遺児を一人も出さないクルマ社会の実現」という言い方です。
クルマを売って生きている業界にとって、交通事故は自分たちの商品が起こす被害でもあります。だから寄付は「社会貢献」という括りだけの話ではない、という立場が読み取れます。実際、春・夏・秋・年末の全国交通安全運動の期間には、チャリティーキャンペーンと並んで組合を挙げた啓蒙活動が呼びかけられ、不正改造車の排除や盗難防止と同じ枠組みの中で語られています。
38年という年数は、担当者も理事長も何度も代わる長さです。それでも金額の多寡にかかわらず一度も途切れていないことが、この活動の性格を示しています。
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