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研修レポート

中古自動車販売士19名が猛勉強
―お店の「使命」担い、さらなる「高み」目指し

この記事のポイント(要約)

小売振興委員会主幹による令和3年度「CS(顧客満足)基礎研修」ならびに「おもてなし理論研修」が1月25日、名古屋市中村区のTKPガーデンシティPREMIUM名駅西口(貸会議室)で開かれた。両研修の同日開催は昨年1月に次ぐ9年連続・通算12度目。午前9時から正午までのCS基礎研修には12社から計19名、午後1時から4時までのおもてなし理論研修には5社・11名の中古自動車販売士が参加した。講師は一年前と同様、JU中販連の小幡浩之氏(小売振興部課長代理)が両研修をぶっ通しで担当。「知っている」と「できる」の違い、お客様との接点強化の重要性、そして「相手都合」で考えるおもてなしの極意を、事例やクイズ、グループワークを交えて学んだ。

販売士対象に「CS基礎研修」と「おもてなし理論研修」を同日開催

JU愛知メンバーショップに在籍する中古自動車販売士を対象とした、小売振興委員会主幹による令和3年度「CS(顧客満足)基礎研修」ならびに「おもてなし理論研修」が1月25日、名古屋市中村区のTKPガーデンシティPREMIUM名駅西口(貸会議室)で開かれました。

両研修の同日開催は昨年1月に次ぐ、9年連続・通算12度目です。午前9時から正午まで展開された「CS基礎研修」には、12社から計19名の販売士の皆様が出席。また、通算8度目で、午後1時から4時まで展開された「おもてなし理論研修」には、午前中のCS基礎研修を受講したメンバーのうち5社・11名の皆様が引き続き参加された次第です。

受講者の中には、自社を「JU適正販売店」に格上げする使命を担っていた向きも多く、その受講姿勢は前向きで、ひとつでも多くの知識を吸収しようという気概にあふれていました。双方の研修の講師は一年前と同様、JU中販連の小幡浩之氏(小売振興部課長代理)が今回もぶっ通しで担当しました。

羽根副委員長が激励―「さらなる高みを目指して研鑽を」

研修に先立ち、激励の挨拶に立った羽根小売振興副委員長は、中古自動車販売士制度がスタートしてから11年目、JU適正販売店制度がスタートしてから8年目をそれぞれ迎えたことに触れ、「制度ができたからと言っても、厳しい目で見れば、これまでに何も起きなかった。その一因には、私たちの意識や取り組み姿勢にも問題があった」と指摘しました。

その上で、「制度をより有効かつ有益なものにしていくためには、中古自動車販売士在籍店やJU適正販売店としての自覚をより高め、さらなる高みを目指して研鑽を積み重ねていくことが大事」と強調。JU愛知の適正販売店では令和4年度に、月1ペースで経営者・スタッフ研修を開催し、そこで身に付けた知識やノウハウをショップごとに実践していくことで、それぞれの「地力アップ」を図っていく考えを示しました。

羽根副委員長はその点を特にアピールした上で、「皆さんのお店が一日も早く適正販売店の仲間入りをできるように、きょうはしっかりと勉強して下さい」と、熱いエールを送ってくれました。

3段階のCS向上研修―初級・中級のコラボ開催

JU中販連では、中古自動車販売士制度とJU適正販売店制度を有効にリンクさせ、販売士在籍店のレベルアップと適正販売店へのステップアップを側面支援することを目的に、3段階のCS向上研修を取り揃えています。この日のCS基礎研修はその初級編、おもてなし理論研修はその中級編として位置付けられており、上級編としては「CS行動モデル実践研修」が用意されています。

JUグループの中で「安心と信頼」の究極ショップとして位置付けられるJU適正販売店は、中古自動車販売士(当該研修受講修了者で当該試験に合格された方)、CS基礎研修受講修了者、車両見極め初級研修受講修了者が揃って在籍することが最低条件となっています。CS基礎研修は中古自動車販売士でなければ受講できず、おもてなし理論研修はCS基礎研修受講修了者でなければ参加できません。

当JU愛知では、おもてなし理論研修は座学の研修としては、実際に受講された皆様の満足度が群を抜いて高く、一度に双方の研修を受講してもらえれば、小さな負担で大きな成果を得られるため、双方のコラボ開催を進めています。

お客様との「接点強化」に活路を―ヤフオク&メルカリ世代には要注意

午前中のCS基礎研修では、お客様が満足を覚えるサービスのポイントや、長期にわたってお客様にお付き合いいただくためのノウハウなどについて分かり易くレクチャーが展開されました。地域で圧倒的な信頼を勝ち取り、継続的に利益を確保できるようにするためには、お客様が喜びや満足、さらには感動を覚えられるようなショップづくりに取り組む必要があり、その推進にあたっては、全スタッフがお客様の視点に立って接客・サービス等を見直し、お客様に自社ファンになっていただく取り組みを地道に継続していくことが不可欠である旨が、何度も強調されました。

小幡講師は、私たちJUショップを取り巻く環境が大きく変わって来たことを分かり易く解説。国内における人口の減少と少子高齢化、若者のクルマ離れ、高齢ドライバーの運転免許返納、自動車の買替サイクルの長期化、消費者志向の変化等に加え、大手販売店の全国展開、新車ディーラーの中古車強化戦略等の影響もあって、多くのJUショップが新規客を獲得できない、固定客減少に歯止めが掛からない等の悩みを抱え、収益性の悪化に頭を痛めているのが実情であると指摘しました。

さらに、サブスクリプション、カーシェアリング、ライドシェア等の新しいサービスの台頭にも触れ、「中古車個人間売買の現状は、かつて懸念されたレベルには至っていないが、ヤフオクやメルカリ等を介した個人間売買に抵抗を覚えない若年層には、今後、普及拡大する危険性は充分に考えられる」と、私的見解を表明。その上で、「新規客の獲得が困難で、収益性が悪化している現状を打破するためには、お客様一人ひとりとの接点強化にいま以上に取り組み、自社ファンとの関係性を強化していく以外に道は無い。それには全社を挙げてCS活動を推進し、より多くの自社ファンとの永きお付き合いを実現していかなければならない」と強調しました。

「知っている」と「できる」は別問題―社員満足を軽視すると痛い目に

多くの受講者が「なるほど」と納得したのは、「知っていると、できるとでは、全く違う」という、小幡講師の一言でした。お客様満足度を高めるためには「社員が第一、お客様は第二」というCSの考え方があることは知っていても、それを実践できているところと、そうでないところがあることを、実際のJUショップの失敗・成功事例を引き合いに出して紹介してくれたのです。

A社では、お客様からの電話照会に24時間・365日対応できるようにするため、スタッフにその旨の指示を出しました。しかしその取り組みでは、スタッフが電話照会をわずらわしいと思うようになり、次第に電話に出ないようになって、お客様からのクレームに対しても「そんな電話は無かった」という嘘の報告が増えたそうです。一方、B社では、お客様の誕生日にスタッフがお花を届ける取り組みを開始。お客様の反応、特に主婦層に受けが良く、スタッフ自身がお礼の言葉を直接もらえる機会が増えたため、お客様受けする花以外のプレゼントを贈りたいという意見・要望が次々に挙がり、一定金額内であれば、スタッフ自身が考えて選んだプレゼントを贈ってもいいことになったようです。

どちらの経営者もお客様のためを想ってスタッフに指示を出しましたが、その取り組みにあたるスタッフが喜んで実践できるかどうか、また、その取り組みに対して満足感を得られるかどうか、そこに大きな違いがあったのです。「知っていても対応を誤れば、お客様は満足どころか不満を覚え、最悪の場合は『こんな会社とは付き合っていけない』という被害者意識を抱くようになる」――その教訓を胸に刻んだ受講者が少なくなかったように見受けられました。

おもてなし理論研修―自己紹介と「頭の体操」で"お客様目線"を養う

午後からのおもてなし理論研修は、与えられたテーマごとに各グループでワーキングやディスカッションを重ね、グループとして導き出した答や意見を発表し合う形で進められました。最初にグループごとの自己紹介を終えると、小幡講師から「人間関係が深まれば、お互いが楽しい気持ちになれる。そうなれば、相手に対する考え方が変わる。いま取り組んでもらった自己紹介は、まさに、そうした関係づくりを狙ったもの。相手に対する考え方が変われば、行動の中身が変わり、結果の中身も変わる」とのメッセージが送られました。

続く「頭の体操」のクイズでは、カルビーが数年前まで採用していたポテトチップスの袋のデザインが2つ提示され、どちらがコンビニ用で、どちらがスーパー用かが出題されました。ポテトチップスの袋のデザインは、コンビニとスーパーとではお客様の層が違うため、それぞれのお客様の目線に立ってデザインされていたのです。次いで、自身が客として嬉しく感じたことについて発表し合い、「自分のことを覚えていてくれた」「自分だけに特別なサービスや気配りをしてくれた」といった事例を挙げる向きが少なくありませんでした。

おもてなしの極意は「相手都合」―勝手に心配し、具体的に想像を

小幡講師は「おもてなし」の極意について、次のように説明しました。「サービスとおもてなしは全く異質のもの。サービスは不特定多数のお客様に提供するもので、自社の効果を優先させるマニュアル対応が可能だが、真にお客様優先のおもてなしは1対1が基本原則で、いま、この時、この場所で、一人ひとりに対応していく必要がある」。

そして「すべてのお客様をもてなそうと考えた時点で、おもてなしはサービスに変わってしまう。常におもてなしを貫くためには、自分を消して、相手の都合で考えること。相手のことを、勝手に心配して、具体的に想像すること。そこから真のおもてなしが生まれる」と語り、受講者の皆様にワンランク上のディスカッションをさりげなく要求しました。

総仕上げのグループワーク―仮想客への訴求&提案に挑戦

「おもてなし理論」修得の総仕上げとして、受講者の皆様はメインのグループ・ワーキングとグループ・ディスカッションに突入していきます。第1のワークテーマは、スマホのチラシを教材として、仮想のお客様が購入したくなるようなキャッチコピーを考えること。仮想のお客様の設定はグループで異なりましたが、ここでは、販売店サイドがお客様に伝えたいことと、販売店がお薦めしたいことがお客様にきちんと伝わることは、全く違うものであることを学んだのです。

第2のワークテーマは、この日のハイライトとも言うべきもの。初めて来店された仮想ユーザーが展示場で商品車を見比べているというシチュエーションから、そのお客様の事情や要望等を推測し、どのような提案をすれば、そのお客様が満足されるかについて、まずは受講者一人ひとりで考えをまとめ、次いで、各グループで活発に意見を戦わせ、グループの答を導き出しました。これこそ、小幡講師が「おもてなし」の極意として説明していた、「お客様のことを、勝手に心配して、具体的に想像する」作業でした。

明日からの業務改善の「糸口」を掴む

グループで話し合う中で、他のメンバーの考えを耳にする度に、そんな視点があるのか、そんなこと思いもしなかった等の驚きを覚え、どれが正解であるかを求めるよりも、いま耳にしたことを明日からの業務に活かしてみようと考えていたようです。その時点で、受講者の皆様は行動の中身が変わっていました。他のメンバーから得たヒントやノウハウを自身の仕事に活かすことで、自然と結果が変わるはずです。

この日の一連の作業は、いずれも「おもてなし」の極意に近づくための作業であったことを、受講者の皆様は満足感の中でしっかりと感じ取ったことでしょう。さらなる高みを目指す中古自動車販売士の皆様にとって、この日の研修が大きなターニング・ポイントになることは間違いありません。

出典:JU愛知(愛知県中古自動車販売商工組合) 機関誌「あいぶら」第295号(2022年2月)