中古車オークションの「評価点」はどう決まるか
― JU愛知の5項目基準と、評価が上がる修理・上がらない修理
この記事のポイント(要約)
評価点の上限は「5項目」で先に決まる
オークションの評価点というと、検査員がキズや凹みを見て減点していくイメージがありますが、JU愛知の仕組みはその前段に特徴があります。まず車両ごとに「上限評価点」が設定され、検査による減点はそこから始まるのです。
上限評価点を決めるのは次の5項目です。
・① 登録年数 ― 初度登録からの経過年数
・② 走行距離数 ― 距離が伸びるほど上限が下がる
・③ 全体評価基準 ― 車両全体の状態
・④ 内装補助評価 ― 内装のA〜E評価
・⑤ 外装補助評価 ― 外装のA〜E評価(令和2年8月導入)
各項目の基準のいずれかに該当すれば、その評価点がその車の上限になります。つまり、どれだけ磨き上げても、走行距離や損傷の履歴が課す天井は超えられないという設計です。例えば誌面の実例では、走行距離が10万km以上15万km未満の車両の上限は4点。そこに左リヤフェンダーの大きな凹み(U4)があると、全体評価基準により上限は3.5点まで下がります。
外装補助評価 ― バイヤーの要望で令和2年8月に導入
5項目のうち最後に加わったのが外装補助評価です。それまで内装補助評価のみが運用されていましたが、多くのバイヤーから「外装評価も導入してほしい」との要望があり、流通・検査両委員会で協議を重ねた結果、令和2年8月20日から運用が始まりました。
評価は外装・内装とも5段階です。
| 評価 | 外装 | 内装 |
|---|---|---|
| A | 加修不要 | 加修不要 |
| B | 軽微な加修が必要 | 軽微な加修が必要 |
| C | 加修を要する | 加修を要する |
| D | 大きな加修が必要 | 加修・交換が必要な大きなダメージ |
| E | 再生困難(冠水車・災害車・特殊車両を含む) | 再生不能な状態 |
キズや凹みの大きさの測り方は、出品システム「Ainess Net」の出品申込書検査表示基準に統一されています。なお外装補助評価は全コーナーが対象ですが、バントラ2(中型・大型)、現状車、売切り現状車、特殊車両は対象外です。
評価が上がる修理、上がらない修理 ― 分かれ目は「ネジ止めか、溶接止めか」
この解説シリーズでもっとも実務的なのが、修理と評価点の関係です。誌面は「修理後の見栄えが良くても、評価点には反映されない場合がある」とはっきり書いたうえで、線引きを示しています。
・ネジ止めパネル(ドアなど)の交換 ― 減点なし。評価点を維持・向上できる
・溶接止めパネル(フェンダーなど)の鈑金修理 ― 減点なし
・溶接止めパネルの交換 ― 評価点が下がる。仕上がりがどれだけ良くても上がらない
誌面の実例はこうです。右フロントドアにキズ凹み、右リヤフェンダーに線キズ、左リヤフェンダーにキズと凹みがある走行5万3,000kmの車両。距離だけなら上限4.5点ですが、複数パネルの損傷で上限は3.5点に下がっています。これを右フロントドアは交換(ネジ止め)、左右のリヤフェンダーは鈑金修理で直すと、全体評価基準が「加修跡はあるが状態良好」に該当し、上限は4.5点に回復します。逆に、凹んだリヤフェンダーを溶接で丸ごと交換してしまうと、見た目は新品同様でも評価は3.5点のまま上がりません。
なぜ溶接だけ扱いが違うのか。フェンダーやルーフなど溶接止めのパネルは車体骨格とつながっており、その交換は修復歴の判定に直結する重大な履歴だからです。この「外装パネルの交換をどう見抜くか」は、JU愛知が制作した車両検査動画シリーズや車両見極め研修で繰り返し扱われているテーマでもあります。評価点の制度と検査員教育が、同じ思想で貫かれていることが分かります。
出品店に課される申告ルール ― 未申告はクレーム対象
評価点の信頼性を支えるもう一本の柱が、出品店の申告義務です。誌面が繰り返し呼びかけている記入ルールを挙げます。
・出品申込書は油性ペンで記入(水性ペンはにじみ・文字消えの原因になる)
・走行距離数・車台番号・型式は必ず記入する
・メーター表示に疑義がある場合は記号で明示する ― メーター改ざん車は「*」、メーター交換車は「$」、走行不明車は「#」を走行欄右端に記入し、注意事項申告欄に根拠を書く
・不具合・欠品・修復内容など車両の瑕疵は「注意事項申告欄」に必ず記入する。未申告は出品店の責任としてクレーム対象になる
・装備品や「ワンオーナー」などのアピールは「セールスポイント」欄へ。ただし正常に作動・機能することが記入の条件で、動かないものは申告欄に書く
・保証書・整備手帳・スペアキー・ナビディスクなどは車内に積み込まず成約後に別途提出する(車内積込みによる紛失・盗難は出品店の責任)
評価点や車両評価に関する相談窓口として、誌面は事務局のAA検査部検査課と検査委員会の担当職員を案内しています。
買う側にとって、この仕組みは何を意味するか
店頭で中古車を選ぶとき、オークションの評価点そのものを目にする機会は多くありません。それでもこの仕組みを知っておく価値があるのは、店頭在庫の品質の物差しが、ここで作られているからです。
ポイントは2つあります。ひとつは、評価点が「見栄え」ではなく「履歴」で決まること。磨いて隠せるものは評価を上げられず、溶接をともなうパネル交換は必ず点数に残ります。もうひとつは、メーターや修復歴の申告が出品店の責任として制度化されており、隠せば業者間取引の場でクレーム対象になることです。
買う側から見れば、「この車のオークション評価点はいくつでしたか」「修復歴と外装の評価はどうでしたか」と店に聞いてみるのは有効な質問です。JU加盟店が仕入れる車の多くは、この物差しを通ってきています。