JU愛知オリジナル車両検査動画プロジェクト シリーズ1〜4
― 外装パネルの「交換跡」から骨格の損傷を疑う、修復歴発見の糸口
この記事のポイント(要約)
なぜ組合が自前で検査動画を作るのか
このプロジェクトの出発点は、現場の事情にあります。人手不足が深刻化するなか、研修会に人を送り出すこと自体が難しい組合員店が増えているという認識です。
そこで検査委員会は、実車研修で伝えている内容を会社でも自宅でも、いつでも体験できる形に置き換えることにしました。実際にオークション会場で車両の検査・評価にあたっている事務局職員(JU検査員)が制作を担当し、部位ごとに「どこを、どう見るか」を短い動画にまとめて順次公開していきます。
制作は限られた予算のなかで、事務局職員がワンチームで撮影・編集まで手がける体制です。回を重ねながら品質を上げていく前提で始められました。
なお、シリーズ第1弾としてJU中販連制作の動画を使用することについては、加藤理事長が全国の検査委員会で説明し、使用の許可を得ています。JU愛知が実車研修を継続して開催し、検査講習会を毎年実施し、JU中部「第1回AA検査員技能コンテスト」の運営を担ってきた実績が評価された結果とされています。
シリーズ1 ― 検査の手順と、修復歴の判定基準(JU中販連制作)
最初に見てほしい動画として公開されたのが、JU中販連が制作した2本です。
合計で約28分。個別の見極めテクニックに入る前に、「修復歴とは何を指すのか」という共通の物差しを全員で揃えるところから始めている構成です。
シリーズ2 ― 外装パネルの「交換跡」を見つける3本
シリーズ第2弾は、制作スタッフが主体となって作った3本です。
- ①フロントフェンダー交換編(ネジ止めの外装パネル)
- ②ドア交換編(ネジ止めの外装パネル)
- ③リアフェンダー交換編(溶接止めの外装パネル)
いずれも約2〜5分。ネジの回し跡、後塗りシーラントの跡、再溶接の跡、下地色といった手がかりから、「修理跡」「交換跡」を見極めるポイントが収録されています。
外装の交換は修復歴ではない ― それでも見つける意味
ここがこのシリーズの肝にあたる部分です。
外装パネルを交換しただけでは、修復歴車にはなりません。 それでも交換跡を探すのは、交換跡が見つかること自体が「その内側で何かが起きたかもしれない」という合図になるからです。外板に手が入っている以上、隣接する内側の骨格部位まで損傷が波及している可能性を疑うきっかけが得られます。
つまり外装パネルの見極めは、修復歴を発見するための入口=「糸口」にあたります。AA検査員の育成でも、まずここを固めることが基本的なスキルとされています。
撮影にあたっては、大塚検査委員長と新井検査副委員長が立ち会い、鈑金塗装のプロで動画制作にも詳しい増田・名2支部長がオブザーバーとして加わりました。
シリーズ4 ― リヤフロア損傷編。同じ車に「基準の内と外」が同居する
シリーズ第4弾は「リヤフロア(トランクフロア)確認ポイント」(約3分)です。リヤフロアは溶接止めのパネルであり、修復歴の対象となる骨格部位にあたります。
この動画で扱われているのは、1台の車両に、カードサイズ未満の損傷とカードサイズ以上の損傷が同居しているケースです。同じ車の中で基準の内と外が並んでいるため、判定基準がどこで分かれるのかを実物で確認できる教材になっています。
リヤフロアの検査は、体勢が苦しく撮影が難しい部位です。そこで車両をリフトアップして損傷箇所を別撮りし、動画内に差し込むという工夫で、検査員が実際に見ている角度を再現しています。
全6シリーズの構成
プロジェクト全体は次の6シリーズで計画されています(内容・順序は変更される場合があります)。
- シリーズ1:JU中販連「検査の手順と確認ポイント」「自動車の修復歴判定基準」
- シリーズ2:ドア・Fフェンダー・Rフェンダーの確認ポイント
- シリーズ3:Fピラー・センターピラーの確認ポイント(サイドシルの追加を検討)
- シリーズ4:Rフロア・Rサイドメンバーの確認ポイント(エンドパネルの追加を検討)
- シリーズ5:Fインパネ・Fサイドメンバー・ダッシュパネルの確認ポイント
- シリーズ6:ルーフ・下廻りの確認ポイント
シリーズ5・6(令和7年度の完結分)については、別記事で詳しく取り上げています。
販売店にとっての読みどころ
- 外装の交換跡は「終点」ではなく「入口」。 見つけたら、内側の骨格まで疑う。
- 手がかりは4つ。 ネジの回し跡、後塗りシーラント、再溶接跡、下地色。
- 基準は物差しから。 個別テクニックの前に、修復歴の判定基準を全員で揃える。
- 研修に行けなくても学べる。 動画なので、店の空き時間や自宅で、必要な部位だけ繰り返し確認できる。
中古車を買う側から見れば、その車に修復歴があるかどうかを、店がどれだけ真剣に見ているかは最も気になる点のひとつです。JU愛知の加盟店は、こうした検査の知識を組合ぐるみで共有し、検査員と販売店が同じ基準で車を見る体制づくりを続けています。
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