令和6年度「車両見極め初級研修」&「実車研修」
― 修復歴発見の糸口は新車との「間違い探し」。座学5時間ののち、14名が教材車両4台と3時間格闘
この記事のポイント(要約)
【初級研修・2月4日】AIS認定講師が7万件の検査経験から伝授
対象は中古自動車販売士在籍店。講師を務めたのは前田大輔氏(㈱AIS 中部エリアオフィス 営業開発担当・AIS認定講師)です。
前田講師の実績は7万件以上のオークション検査経験。修復歴車の判断基準やパネル交換歴の見極めポイントを、自身の経験談を交えながら解説しました。受講者は5時間にわたって熱心に耳を傾け、最後には理解度を確認するペーパーテストにも挑戦しています。
修復歴発見の糸口は、新車との「間違い探し」
前田講師が繰り返したのは、「修復歴発見のポイントは、新車との間違い探しにある」という一言でした。
ここで大事なのは、新車の状態を完璧に覚えていなくてもよいという点です。どこを見て、どのようにチェックすれば交換歴や修復歴を見つけられるのか ― その「見る場所」と「見る順番」さえ体に入っていれば、違いは浮かび上がってきます。
講義では、重大瑕疵として出合う確率が高い修復歴車の見極めを重視し、外板パネル交換の確認を入口に据えたうえで、3分割・前後確認の方法が紹介されました。アルファードのような大きな車両では、横からすかして上・中・下の3グループに分けて確認する手法が推奨されています。
冬場のガラスチェックには、軍手とビニールを使う
実務にすぐ効く小技も共有されました。
冬場は汚れが多く、ガラスのヒビや割れを見落としやすいため、軍手をはめて指先で汚れを落としながらチェックする。さらに車室内側からも確認する。飛び石による小さなダメージは、手にビニールを巻き付けて指先でなぞると拾えます。
パネル交換歴の確認については、ネジ止めパネルは①ネジの回し跡、②シーラントの硬さ・形状、③パネルの下地色を順にチェック。溶接止めパネルも同様に、溶接跡・シーラントの硬さ/形状・下地色の3点を確認することが重要と説明されました。
【実車研修・2月21日】14名が教材車両4台と3時間
初級研修から17日後の2月21日、検査委員会主幹の「車両見極め実車研修」がJU愛知オークション会場で開催されました。対象は初級研修の修了者で、14名が参加。午後1時から午後4時まで、教材車両4台を用いて修復歴発見のポイントを実践で学びます。
受講者の多くは17日前に初級研修を受け、動画による予習も済ませていました。それでも、実際の車両に向き合うと頭の中が真っ白になり、違和感は覚えてもその原因が分からないというもどかしさが続いたといいます。
ベテランと若手の、視線の差
講師陣が最も鮮明に指摘したのが、車両への近づき方の違いでした。
若いスタッフはいきなり車両に近づく傾向があり、それが修復歴の見落としにつながる場面もありました。一方、ベテランはまず車両から離れて全体を観察し、傾きや外板の歪みをじっくり確かめます。
講師陣は「まずはアタリを付けてから」という姿勢を評価し、若手には「お客様目線」の意識が欠けていたと指摘。自らの失敗談も交えながら、経験を積むことの重要性と、見落としを減らすための手順を再確認しました。
修復歴発見の4ステップ
実車研修で示された流れは、次の4段階です。
① 新車時との違いを見つける(違和感を大事にする)
② 衝撃による損傷を予測する
③ 予測した箇所の修理・交換状況を確認する(外板・骨格重視)
④ 判定基準に沿って判断する
チェックの要点は初級研修と同じで、ネジ止めパネルはネジの回し跡・シーラントの硬さ/形状・パネルの下地色、溶接止めパネルは溶接跡・シーラントの硬さ/形状・パネルの下地色。講師陣は「手順を守れば、外板パネル交換を見落とす確率は低くなる」と結論づけました。勘や経験則ではなく、決まった順番を守ることが精度を上げる ― これがこの研修の一貫した考え方です。
4年連続2桁受講 ― 実車研修が歩んできた道のり
実車研修は平成27年度にスタートしました。当初は好調でしたが、平成29年度には受講者が1名にまで減少。コロナ禍で2年間中止となり、令和3年度に再開した際は17名の申込みがあり、最終的に13名が受講しました。以降、4年連続で受講者数が2桁を維持しています。
検査委員会は、令和7年度もバラエティ豊かな教材車両を用意し、組合員の役に立つ研修を継続していくとしています。
JU適正販売店制度の根幹を支える教育
JU愛知は平成27年度から「JU適正販売店制度」を推進しています。認定の対象となるのは、中古自動車販売士、CS基礎研修 受講修了者、車両見極め初級研修 受講修了者が揃った店舗です。
初級研修は令和3年度から年1回開催に移行しましたが、受講資格者も定着しつつあり、制度の根幹を支える教育の継続が重要とされています。適正販売店の看板は、掲げた時点ではなく、こうした研修を毎年回し続けることで維持されるものです。
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