中古車は「販売店選び」で決まる
― プライスボードの読み方と展示車のチェック
この記事のポイント(要約)
1. なぜ「中古車選びは販売店選び」なのか
希望車種を絞り、予算を組んだら、次は購入する販売店を選びます。「中古車選びは販売店選び」というほど販売店の選択は重要です。
その理由は、中古車の売買が特定物売買(ある特定の物を取引の対象物とする)だからです。
| 新車 | 中古車 | |
|---|---|---|
| 取引の性質 | 種類売買(一定の種類の物を取引の対象物とする) | 特定物売買(ある特定の物を取引の対象物とする) |
| 品質の分かり方 | カタログや展示車を見れば充分に推測できる | 使用の過程によって1台1台の品質はまったく異なる |
| 販売店への依存 | 特定の販売店に頼る必要はない | 品質についての情報はその販売店にある情報に頼らざるを得ない |
ここでいう「情報」とは、現車そのものであり、販売店の発行する各種の書面であり、そして専門家としての販売店のアドバイスです。
現在の車は4万種類以上のパーツで構成される非常に複雑な機械です。専門家以外の人が品質についての判断を下すことは難しいでしょう。ほとんどのユーザーにとって頼りになるのは、自動車公正競争規約に則って、価格表示板や定期点検整備記録簿、特定の車両状態を表示した書面等が正確に記載・交付されることであり、確かな技術に裏打ちされた販売員の誠意ある対応です。販売店の質が中古車選びの大部分を占めるのも当然といえましょう。
・写真には写っていない傷があった
・説明されていない不具合があった
・修理のためには遠方の販売店へ持ち込まないといけない
・不具合について無償修理を要求したいが、連絡がつかなくなった
便利さと引き換えに、これらのリスクを十分に理解しておく必要があります。
2. 販売店選びの5つのポイント
2-1. 展示場をもっている
展示場のある販売店のメリットは、現車を何時でも確認できることにあります。現車は何と言っても最大の情報です。
展示場のない販売店で契約して、納車のときまで現車を見ることができない、というケースが最近増えていますが、納車された車がイメージと違ったり、ときには「指定した車とは違う車だった」という例もあります。
また、展示場を持っているということは、その土地に根を下ろしているともいえ、簡単に撤退はできませんので、信頼の一つの目安になります。買った後に何かあったとき、その店がそこに在り続けるかどうかは、実は保証の内容と同じくらい重要です。
2-2. 展示車・展示場の手入れが行き届いている
これは意外に思われるかもしれませんが、理屈が通っています。
中古車の展示場は概ね交通量の多い街道沿いにあるものです。したがって展示場も展示車も非常に汚れやすく、この手入れ・清掃にはかなりの時間と労力が必要です。
つまり手入れの行き届いた展示場はそれなりのコストをかけているということで、コストをかけているということはそれだけの在庫回転が必要ですので、よく売れているということが推測できます。売れている店で買うほうが安心できるのは当然のことです。
2-3. 整備工場の併設が望ましい
整備工場があるということは、車についての専門知識が豊富だということです。
- 仕入れの際には、その知識によって不具合車を仕入れる可能性が減ります
- どこを整備すれば良いかがわかるので、販売の際に十分な整備をしてから納車することが可能です
- 当然アフターサービスの面でも、色々な意味(コスト・日数・能力等)で有利です
2-4. 自宅に近い販売店
自宅に近い店は情報も入りやすいですし、定期点検や修理の際に購入店に車を持ち込む必要があるときに、近所の方が経済的で安心です。
ネットで全国の在庫を比較できる時代だからこそ、「買った後に何回そこへ行くことになるか」を計算に入れてください。
2-5. 各種団体に入会・加盟している
JU中販連(一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会)以外にも、自動車販売に関係する団体はいくつかあります。これらの自動車関係団体が加盟している一般社団法人 自動車公正取引協議会(略称・公取協)は、公正取引委員会の監督下に活動しているもので、「自動車公正競争規約」という自動車の販売に係るルールを定め、運用している団体です。
公取協に加盟している各団体は、傘下の会員に対してこの規約の遵守・実行を指導しています。
店頭では、古物商の「標識」の掲示と、加盟団体の表示を見てください。愛知県内であれば JU愛知の適正販売店 が分かりやすい目安になります。
3. プライスボード(価格表示板)の読み方
展示場において実際に車を選ぶときの手掛かりは、第一に外見を見た印象ですが、外見の印象とその車の本当の品質は必ずしも一致しません。
外見からだけでは知ることのできない情報をお客様に伝える手段として、まず価格表示板と、特定の車両状態を表示した書面があります。展示車のフロントガラスに掲示されている、大きな数字の入ったボードには、価格以外にもたくさんの情報が詰まっています。
3-1. 初度登録(検査)年月
初度登録年月とは、日本国内で最初に登録されたときをいいます。
国産車の場合は製造年と登録年はほぼ一致するのでこの表現でほとんど問題はありませんが、中古輸入車の場合は製造年とは異なりますので、販売店に確認する必要があります。また輸入車の場合、年式(モデル年)と製造年が違うケースもあります。
3-2. 走行距離数
走行距離計に示された距離数をいいます。ここには重要な表示ルールがあります。
| 状況 | 表示 |
|---|---|
| 走行距離計が交換されている場合 | 交換されている旨、および交換前後の距離数 |
| 走行距離計が改ざんされている場合 | 改ざんされている旨 |
| 走行距離計の示す距離数に疑問がある場合 | 「?」の記号 |
この欄に「?」が付いている車は、販売店が「この距離数は保証できない」と表示しているということです。走行距離をめぐるトラブルについては 購入した中古車が「走行メーター巻戻し」だった をご覧ください。
3-3. 前使用者の定期点検整備記録簿の有・無
その車の初度登録からの記録が残っていれば理想的です。なぜなら、いわば履歴書がキチンとあるわけですから、正確に品質についての情報が得られますし、法定点検を漏れなく受けている車の品質についての信頼度は、受けていない車に較べてだいぶ高いといえます。
3-4. 修復歴
修復歴とは、過去に交通事故その他の災害により車体の骨格にあたる部位を損傷し、「修正」あるいは部品「交換」により復元したものをいいます。感覚的な「事故車かどうか」ではなく、対象となる部位が定められている点が要点です。
<キャブタイプ> ボンネットタイプの1から8に同じ
修復歴のある車については、特定の車両状態を表示した書面が掲示されますので、修復箇所と状態を知ることができます。なお、事故をしたままの状態のものや走行に支障のあるものは「事故現状車」ということになります。
裏を返すと、バンパーやドアの交換だけなら「修復歴あり」にはなりません。修復歴が表示されていなかった場合の対応は 購入した中古車が「修復歴車」だった で扱っています。
3-5. 保証の有無 ― 「保証付き」の中身を必ず見る
「保証付き」とは、「販売業者又は製造業者の保証が販売価格に含まれ、保証書がついているもの」をいいます。
ただし、「保証付き」であっても保証対象部品が著しく少ない場合もあるので、契約前に保証対象品目も確認しておくことが重要です。
保証書を受け取ったら、プライスボード等に記載されていた距離数と期間を確認してください。免責事項などの確認も忘れずにしておきましょう。
整備との関係も押さえておきます。整備の実施が保証を付ける条件となっている場合、定期点検整備費用を販売価格に含めることになっています。また、販売業者の保証を付けずに、新車時から付いていたメーカー保証(製造業者の保証)を付帯する場合は、保証継承のための定期点検整備費用を販売価格に含めています。
一方の「保証なし」は、「販売業者又は製造業者の保証が販売価格に含まれていないもの」をいいます。ただし表示が「保証なし」でも有償で保証を付帯できる場合もありますので確認してください。
3-6. 定期点検整備実施の有無
ここは3つの表示があり、それぞれ意味が違います。
| 表示 | 内容と確認すべきこと |
|---|---|
| 定期点検整備あり(済) | 販売業者が、販売(展示)時までに定期点検整備を実施して販売します。整備実施時期を確認してください。定期点検整備費用は販売価格に含まれています。購入者に点検整備記録簿等が交付されます |
| 定期点検整備あり(納車時) | 販売業者が、販売時以降、車両引き渡し時までの間に定期点検整備を実施して販売します。定期点検整備費用が販売価格に含まれているのか含まれていないのかを確認してください。含まれていない場合は、整備費用の額を確認してください。購入者に点検整備記録簿等が交付されます |
| 定期点検整備なし | 要整備箇所がある場合には、その旨が表示されています。併せて、特定の車両状態を表示した書面により、要整備箇所が表示されています |
なお、これは車両の機能部分についての表示であり、内・外装(違法改造等、保安基準に適合しない箇所を除く)について表示するものではありません。つまり「要整備箇所なし=傷や汚れがない」ではないということです。内外装は自分の目で見る必要があります。
買う側にとって最も注意が要るのは「あり(納車時)」です。整備費用が価格に含まれているかどうかが2通りあるため、ここを確認しないまま契約すると、後から整備費用が乗ってくることがあります。支払総額表示との関係は 中古車を買う前に知っておく法律と「支払総額表示」の見方 をご覧ください。
4. 展示車をチェックする ― 最低限やっておくこと
普通の人が車を見て品質をチェックするのは難しいことですが、最低限必要なことはやっておきましょう。
4-1. 外装
ここは法的にも重要な意味を持ちます。購入者が注意して見れば確認できる傷や汚れは、購入後に販売店にクレームを付けることはできませんので、慎重にチェックしましょう。
ガラスの小さな傷や塗装のムラなどは見落としやすいポイントです。ただし、中古車ですから、小さな傷や塗装が劣化していることは折り込んで考えなくてはなりません。
またタイヤの状態は走行機能と密接に関係がありますので確認しておきましょう。溝の残りや偏摩耗は、購入直後の出費に直結します。
4-2. 内装
外装同様、自分の目で確認しておかなければなりません。シートの汚れや穴、天井のシミ、灰皿などで、前使用者の使用状況も推測できます。
記録簿や表示に出てこない情報が、ここに残っています。「どう使われてきた車か」を推し量る材料として見てください。
4-3. 機能・装備
スペアタイヤ、ジャッキ、工具、オーディオ、マットなどの装備を確認します。オーディオ、エアコン、パワーウインド、ワイパー、ライト類等は作動させてみてください。
「あるはずのものが無い」は納車後に気づくことが多い項目です。その場で一つずつ動かすのが確実です。
4-4. 試乗
できるだけ試乗してください。そして少しでも不具合や気になることがあれば、慎重に考えた方がいいでしょう。高価なもので長く使うのですから、小さなことでも後悔しがちです。
また試乗を断る店がありますが、よほど車を見る目がない限り、試乗しないで買うのはリスクがあり過ぎます。
なお、試乗中の事故は運転者の責任ですので、安全運転を心掛けましょう。
5. まとめ ― 見るべき順番
- 店を見る ― 展示場があるか/手入れが行き届いているか/整備工場を併設しているか/自宅から近いか/団体に加盟しているか
- プライスボードを読む ― 初度登録年月/走行距離数(「?」や交換・改ざんの表示がないか)/整備記録簿の有無/修復歴/保証の有無と対象品目/定期点検整備の3区分
- 書面を受け取る ― 保証書(期間・距離・免責)/点検整備記録簿/特定の車両状態を表示した書面
- 現車を見る ― 外装(注意して見れば分かる傷は後から言えない)/内装/装備を実際に動かす
- 試乗する ― 断られたら、その取引自体を考え直す材料にする
この順番で見ていくと、「安いのに何かがおかしい車」は途中で必ず引っかかります。そして最初の段階、つまり店を選ぶところで大半が決まるというのが、この記事の結論です。愛知県内で購入されるなら、業界団体の研修を受け規約に沿った表示をしている JU愛知の適正販売店 からお探しになることをおすすめします。