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研修レポート

令和7年度「中古自動車販売士 研修・試験」愛知会場
― 17社28名が受講。修復歴の判断基準と、売買契約・キャンセルをめぐる法的注意点

この記事のポイント(要約)

10月28日、TKPガーデンシティPREMIUM名古屋新幹線口で令和7年度「中古自動車販売士 研修・試験」(愛知県開催)が行われ、JU愛知メンバーショップ(協会員店を含む)の経営者・幹部社員・セールススタッフら17社28名が受講しました。午前は車両品質評価研修で修復歴の見極め方と判断基準を、午後はコンプライアンス研修で売買契約とキャンセルの法的な扱いを学び、最後にペーパーテストに臨みます。今回から査定士資格保有者への一部免除の特典が廃止されましたが、受講・受験者数は前年実績とほぼ同数でした。実務に直結する要点は3つ ―「カードサイズ未満の損傷は修復歴としない」「キャンセル料30%や『一切ノークレーム』の条項は消費者契約法により無効」「令和8年1月施行の改正行政書士法で、書類作成代行手数料の請求・徴収は厳禁」です。

開催概要 ― 特典廃止でも受講者は前年並み

中古自動車販売士は、中古車販売の実務知識を体系的に確認する資格です。令和7年度の愛知県開催は10月28日、会場はTKPガーデンシティPREMIUM名古屋新幹線口17社28名が出席し、座学の車両品質評価研修コンプライアンス研修を受けたうえで、ペーパーテストに挑戦しました。

今回、制度面でひとつ変更がありました。これまで査定士資格の保有者はコンプライアンス研修のみの受講で足り、試験の一部が免除されていましたが、今回からその特典が廃止されました。負担が増えるため受講者数への影響が懸念されるところでしたが、実際には前年実績とほぼ同じ人数が集まり、影響は見られませんでした。日中の研修へ社員を送り出すには店側の体制が必要で、参加を支えたスタッフと組合員に対して謝意が述べられています。

午前|車両品質評価研修 ― 修復歴を見つける「糸口」と「基準」

午前は2名の講師が担当しました。山田査定長が「修復歴発見の糸口を探るノウハウ」、恒川課長が「修復歴の判断基準」です。見つけ方あてはめ方を分けて教える構成になっています。

糸口 ―「新車との違い」を徹底的に探す

山田講師が繰り返し強調したのは、新車の状態と何が違うかを徹底的に探すという姿勢です。見るべき箇所として、次のポイントが挙げられました。

  • 外板パネル(合わせ目・面のつながり)
  • ネジ(脱着の跡が残っていないか)
  • シーラー(塗布の形状が工場のものと違わないか)
  • 溶接痕(工場の溶接と、後から行われた溶接の違い)
  • 内板色(外からは見えない部分の色の差)
  • フレーム修正跡

いずれも「その車だけを見て良し悪しを判断する」のではなく、本来そこにあるべき新車の状態を知っていて、そこからのズレに気づくという見方です。JU愛知が別途進めている車両検査動画プロジェクトでも同じ考え方が繰り返されており、見極めの共通の土台になっています。

基準 ― 7つの骨格部位と「カードサイズ」

恒川講師は立体模型を使い、7つの骨格部位ごとに修復歴の判断基準を解説しました。特に強調されたのが、次の線引きです。

📏 修復歴の判断基準(研修で繰り返し強調された点)『凹み・曲がり・破れ・亀裂』の鈑金修理は修復歴に該当する
『カードサイズ未満』の損傷は修復歴としない

この2点は、査定の現場でもっとも判断が割れやすいところです。基準があいまいなまま「修復歴なし」で出品してしまえば、落札後のクレームや返品につながり、出品店の信用に直結します。逆に基準を知らずに過剰に修復歴扱いすれば、本来の評価を下回る価格で手放すことになります。覚えておくだけで金額に効く知識と言えます。

午後|コンプライアンス研修 ― 契約はいつ成立するのか

午後は中販連の今村部長が、売買契約とキャンセルを重点的に講義しました。中古車販売でトラブルになりやすい論点が正面から扱われています。

契約成立の時期

支払方法契約が成立する時点
現金販売登録・加修・引渡しのうちもっとも早い日
クレジット取扱い立替払いの確認日

注文書に署名をもらった日」ではない点が要注意です。どの時点で契約が成立したかによって、その後のキャンセルの扱いが変わってきます。

キャンセル料 ―「30%」「20万円」「一切ノークレーム」は無効

研修でとりわけ明確に示されたのが、キャンセル条項の有効性です。

⚠️ 消費者契約法により無効とされるものキャンセル料30%といった定率の違約金
20万円などの定額の違約金
「一切ノークレーム」とする条項

負担させられるのは実費分のみ。自店の注文書にこうした条項が入っている場合は、そのままでは通用しません。

講師は対応策として、JUモデル注文書の有効活用を推奨しました。自店で独自に作った書式を使い続けるより、業界団体が整備した書式に乗せたほうが安全という考え方です。自店の注文書がいつ作られたものか分からない、という店は、この機会に一度確認しておく価値があります。

令和8年1月施行|改正行政書士法 ― 書類作成代行手数料に注意

今村講師からは、令和8年1月から施行される改正行政書士法についても注意喚起がありました。

⚠️ 改正行政書士法のポイント行政書士以外の者が、報酬を得て車検場などに提出する書類を作成することは違法とされます。したがって、書類作成代行手数料の「請求」および「徴収」は厳禁です。

これは中古車販売の実務に直接影響する改正です。登録関係の書類作成を店側で行い、その分を「代行手数料」として明細に載せている店は、請求のしかたを見直す必要があります。施行はすでに到来している時期であり(本記事公開時点で令和8年8月)、まだ確認していない場合は早めに自店の請求項目を点検してください。

試験 ― 付箋とメモを貼ったテキストが武器になる

研修後のペーパーテストでは、研修中に付箋を貼り、余白にメモを書き込んだテキストを手元に置いて臨む受講者が多く見られました。問題ごとに自分の付箋を頼りにテキストをめくり、解答を確認していく ― その繰り返しです。マークシートを力強く塗りつぶす姿が、真剣に学んだ証だったと報告されています。

これから受験する方への実務的な示唆としては、研修中にどれだけテキストへ手を入れておくかが、そのまま試験の答えやすさになるということです。聞くだけで終えず、あとで引ける状態にしておくことが有効です。

なお、この回の試験結果は11月下旬に発表予定とされていました。

まとめ ― 3つの実務ポイント

  • 修復歴……『凹み・曲がり・破れ・亀裂』の鈑金修理は修復歴。カードサイズ未満は該当しない。判断は7つの骨格部位ごとに行う
  • 契約・キャンセル……成立時期は現金なら登録・加修・引渡しの最先日、クレジットなら立替払い確認日定率・定額の違約金と「一切ノークレーム」は無効で、負担させられるのは実費のみ。JUモデル注文書の活用を
  • 改正行政書士法……令和8年1月施行。書類作成代行手数料の請求・徴収は厳禁

出典:JU愛知(愛知県中古自動車販売商工組合) 機関誌「あいぶら」第339号・340号