顧客の生涯価値を高める5つの方法と「お客様カルテ」
― CS向上基礎研修&おもてなし理論実践研修をセット開催
この記事のポイント(要約)
「来店してもらえる店」は1〜2店舗に絞られている
研修の前半で共有されたのは、中古車販売店が置かれている環境の変化です。
- 保有台数と既存顧客が減っている。
- 1台あたりの保有期間が長くなっている。 つまり買い替えの周期が延び、販売機会そのものが減ります。
- 任意保険の付帯率が下がっている。
- 中古車情報サイトの利用者の目が厳しくなっている。 実際に来店する店は1〜2店舗に絞られてから選ばれています。
最後の点は重い意味を持ちます。かつてのように「何店舗も回ってもらううちに選ばれる」のではなく、ネットで絞り込まれた段階で候補に残っているかどうかが勝負になっているということです。だからこそ、いま来ているお客様一人ひとりとの関係を長く保つことの価値が上がります。
顧客の生涯価値を最大化する5つの方法
この環境で利益を確保するために、東講師が挙げた方法は次の5つです。
- ①付帯サービスで単価を上げる
- ②車両の仕入れを強化して粗利率を上げる
- ③リースで購買頻度を上げる
- ④リピートを確保して取引期間を延ばす
- ⑤紹介で、新規獲得・維持のコストを下げる
いずれも「新しいお客様をどれだけ集めるか」ではなく、いま取引のあるお客様との関係をどれだけ厚く・長くするかという発想で組み立てられているのが特徴です。保有期間が延びて買い替えが減るなら、1人のお客様と付き合い続ける年数とその間にお手伝いできる範囲を広げるしかない、という考え方です。
「満足」を決めるのはお客様 ― 販売店本位のCS活動は逆効果になる
研修でとくに強調されたのが「顧客本位」という視点でした。
東講師は、お客様の期待を下回れば不満、上回れば感動に至ると説明します。ここで大事なのは、満足かどうかを判断するのはお客様であって、販売店ではないという点です。店の側が「これだけやっているのだから満足しているはずだ」と考えて進めるCS活動は、かえって逆効果になる危険があると指摘されました。
言い換えれば、CS向上とは施策の量を増やすことではなく、お客様が何を期待しているかを掴み直す作業だということです。
「お客様カルテ」― 関係強化を仕組みにする
では、期待を掴むために何をするか。研修で示された具体策が「お客様カルテ」の作成と活用です。
カルテに書き残すのは、たとえば次のような情報です。
- 家族構成
- 誕生日
- 趣味・嗜好
- 値引きやサービスについて、これまでどう対応したかの経緯
ポイントは、これらを担当者の頭の中に置いたままにせず、言語化してスタッフ全員で共有することです。そうすることで、誰が対応してもお客様目線に立った接客ができ、店全体としてファンになっていただく状態に近づきます。派手さはありませんが、地道に続けることでしか積み上がらない種類の取り組みです。
JU中販連の研修体系と、JU愛知の「セット開催」
JU中販連は従来の3段階研修を改編し、上級編として「CS向上基礎研修」「おもてなし理論実践研修」「新規顧客対応強化研修」「顧客接点強化研修」を展開しています。
そのなかでJU愛知が選んだのが、受講者の満足度が高いと評価されている「セット開催」です。基礎(考え方)と実践(接客での使い方)を同じ日に続けて受けることで、学んだ内容が現場の動作に結びつきやすくなります。
高垣小売振興委員長は教育関連事業の重要性をあらためて強調し、「ステップ愛知」の理念に基づくレベルアップを呼びかけました。業界環境が厳しさを増すなかで、自社の地力を上げ、適正販売店・教育優良店へとステップアップしていく ― これがJU愛知の研修事業が一貫して掲げている道筋です。
販売店にとっての読みどころ
この研修が示しているのは、集客の話ではなく、いるお客様との関係の話だという点です。
- 買い替え周期が延びた以上、1回の販売だけで採算を考えると苦しくなる。 付帯サービス・リース・整備・保険を含めた生涯の取引で見る。
- 満足の判定者はお客様。 店の自己評価でCS施策を積み上げない。
- 関係強化は記録から。 お客様カルテを作り、全員で共有する。属人的な記憶に頼らない。
JU愛知の加盟店には、こうした研修を継続して受け、店ぐるみで実践している販売店が数多くあります。中古車を買う側から見れば、売って終わりにしない店かどうかは安心して任せられるかの大きな分かれ目です。
あわせて読みたい記事