見積書から納車まで
― 中古車購入の書類の流れと、各段階で確認すること
この記事のポイント(要約)
1. 見積書をもらうまで ― 実車を見て、聞いて、試乗する
中古車は新車と異なり一物一価といわれており、前使用者の使い方やメンテナンス状況により品質が同じものは二つとありません。
だからこそ、車両を自分自身の目で見て確認し、気になること疑問点を販売店に聞いて納得できる回答かどうかが重要です。
店頭へ行ってプライスボード等で品質や販売の態様を確認し、試乗もしてみて、気にいった車があったら、見積書を作ってもらいましょう。
展示車の見方・品質表示の読み方は 中古車は「販売店選び」で決まる にまとめています。
2. 見積書に並ぶ費用の中身
車両価格以外にもいろいろな費用が必要です。中古車を購入するとどのような費用が必要になるのか、項目別に見ていきます。
2-1. 税金・法定費用
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自動車税種別割 | 通常4月1日現在の所有者に対して課税されます。抹消されていた車を再度登録した場合にも、その登録日の翌月分から月割りで課税されます。移転登録の場合には、月割り相当額を新所有者から徴収し、旧所有者(下取り・買取り等)に支払う方法を採るのが一般的です |
| 自動車税環境性能割 (旧:自動車取得税) | 基となる取得価額の計算は「課税標準基準額」に総務省が公表している「残価率」を乗じて算出します。納税したわけですから、都道府県税事務所発行の領収書は必ず貰って金額を確認しましょう |
| 自動車重量税 | 自動車の重量に応じて課税されるもので、車検の際にその期間に応じて課税されます。車検の残存期間がある場合は課税されることはありません |
| 消費税 | 中古車の税率は10%です |
| 法定費用 | 陸運支局や警察に払う手数料等で、必ず払わねばならないものです |
2-2. 保険料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自賠責保険料 | 強制保険とも呼ばれるように自動車損害賠償保障法に基づいて設けられているもので、自動車を所有する以上必ず加入しなければなりません。期間は車検とリンクしていて、自賠責保険証の提示がないと登録や車検は行われません。なお車検残存期間があれば、通常、自賠責保険料としては徴収されません。ただし販売事業者が加盟している各団体のモデル約款では、その保険料を月割りにして前所有者と新所有者に不公平がないように「相当額」として前所有者に返還し、新所有者からは受領することとしています |
| 任意保険 | 車の使用者が任意で付ける自動車保険で、対人、対物、車両保険などがあります。事故を起こしたときの損害賠償金は年々高額化しており、人身事故の賠償は自賠責保険ではとても払えないので、任意とはいえ加入しておくべきでしょう |
2-3. 諸費用(保険料、税金、登録等に伴う費用)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録手続代行費用 | 自動車を登録するには使用の本拠の位置を管轄する陸運支局または自動車検査登録事務所に申請が必要です。申請自体はさほど難しくありませんが、慣れていないと時間と手間を取られるため代行を販売店に委任するのが一般的で、その手続きに要する実費がこれにあたります。移転登録にはナンバー(登録番号票)変更を伴う場合と必要無い場合があり、前者は管轄変更があるときで車両を支局に持ち込む必要があり当然費用も多くかかります |
| 車庫証明取得手続代行費用 | 登録手続代行費用と同様に販売店の必要実費です。ただし車庫証明は陸運支局ではなく所轄の警察で発行されるので、わざわざ遠方の販売店に頼むよりも自分で手続きしたほうが経済的なこともあります |
| 納車費用 | 現車をユーザーの指定する場所に納めるのに必要な販売店の実費です。店頭で車を受けとれば必要ありません |
| 下取車諸手続代行費用 | クレジット会社や他の販売店の所有権留保となっている下取車の所有権を解除する手続きを販売店が代行する際に発生する代行費用です |
車庫そのものの条件(自宅から直線距離で2Km以内など)は 中古車を買う前に知っておく法律と「支払総額表示」の見方 をご覧ください。
3. 見積書でいちばん注意すべき項目
ここが本章の要点です。見積書に並ぶ費用のうち、本来は諸費用ではないものが混ざっていることがあります。
「諸費用」とは言えない費用を請求するようなお店から購入する必要はありません。
判断の軸は「それは、この車を商品として仕上げるための店側の経費か。それとも、この取引に必要な実費か」です。前者は車両価格に含まれるべきもので、諸費用として別立てで請求される筋合いのものではありません。
そして中古車購入の際は、見せかけの安価な「車両価格」ではなく、「諸費用」の内容や「諸費用」を含めた「支払総額」で比較することが大切です。諸費用の一つひとつの中身(未経過相当額の考え方など)は 中古車の「諸費用」は何にいくらかかるのか で詳しく扱っています。
その場で決めさせようとする空気があるときこそ、いったん持ち帰ってください。持ち帰らせない店は、その一点で判断材料になります。
4. 注文書(契約書)― ここが最大の分岐点
購入を決めたら契約です。
契約は口約束でも成立しますが、中古車の売買契約はかなり複雑で他の商品の契約にはない要素があります。しっかりとした取り決めをして必ず売買契約書を作りましょう。契約書を作成・発行しないようなルーズな販売店では購入しないほうが無難です。
車の売買契約書は通常、注文書と呼ばれています。注文書の注意すべきポイントを、中販連モデル注文書に沿って見ていきます。
4-1. 注文書の6つのチェックポイント
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| ① 車名・グレード等 | 中古車は特定物ですので、購入車両の特性(個体識別)・品質表示については漏れなくチェックをしておかないとトラブルの元です |
| ② 支払条件 | 支払い方法を明記してもらいましょう。支払い条件によって契約書の内容が変わるので、現金・立替払い・ローン提携のいずれかが明記されます |
| ③ 保証の有無、定期点検整備実施の有無 | 価格表示板の表示と同じ内容を明示してもらいましょう |
| ④ クレジット販売における手続き・修理などの開始時期 | 立替払付販売・ローン提携販売の場合は、信販会社からの承諾を得られる前に登録や修理・架装などを依頼するかどうかを取り決めておいたほうがいいでしょう |
| ⑤ 納車予定日 | 販売店とよく話し合って受け渡しに双方がきちんと立ち会える日を選びましょう。納車遅れや納車時に購入者が立ち会わなかったために発生するトラブルは意外に多いのです |
| ⑥ 特約事項 | 販売店とお客様との間でこの売買契約について特別にこのようなことを約束しましょう、ということですから非常に大切なものです。とくに契約の成立の時期や、申込金、手付金などの性格が定義されていますのでよく読んでください |
この1行を契約前に決めておくかどうかで、結論が変わります。
4-2. 留意点1 ― 契約はいつ成立するのか
注文書で最も重要なのがここです。
中古車販売におけるトラブルの中で解約に関する件の比率は高いと言えます。そこで常に問題になるのは契約成立の時期です。
民法では売買契約の成立について、購入の申し込みに対して承諾すれば成立(諾成契約)としていますが、中古車の売買契約には登録制度が存在するため、実際の所有権の移転と登録上の移転との間にタイムラグが生じるなどの問題もあります。そこで中販連のモデル注文書では、次のように定めています。
なお、割賦販売、ローン提携販売または立替払付販売の場合は、これらの契約書に定められている日を持って契約成立の日とします。」
そして、ここからが買う側にとっての要点です。
しかしながら、注文書に以上のような特約がなければ諾成契約ですから、注文書作成時が契約成立の時期となってしまいます。注文書にサインをしたら原則的にはもう解約はできないと考えて慎重に行動しましょう。
だからこそ、サインは最後の判断です。契約の成立時期と解約の扱いについては 中古車の契約はいつ成立し、いつ解除できるのか、キャンセル料を請求されたケースは 契約後のキャンセルでキャンセル料を請求された で詳しく扱っています。
4-3. 現金を支払う時期の3パターン
支払条件のうち、現金の支払時期については一般的に次のパターンが考えられます。
- ① 同時履行の原則から納車時に一括で全額支払う(登録に伴う費用は販売店が立替え)
- ② 登録に伴う費用は自身で支払い(登録代行の場合は当該費用は事前に販売店に預ける)、残金を納車時に支払う(もしくはクレジットにする)
- ③ 登録前に一括で全額支払う
現金支払時期については販売店により異なりますので、契約する前によく確認し納得の上、契約しましょう。
4-4. 留意点2 ― クレジット(所有権留保)
クレジットを使う場合、車の名義が自分にならない点に注意が要ります。
クレジット会社はその債権保全のために、販売車両の所有権を購入者が債務を完済するまで留保して、クレジット会社自身またはクレジット会社の指定した者の所有者名義にします(購入者は使用者名義人となる)。
購入者は債務を完済するまでは売却などについて制約を受けるため、クレジット会社の同意なしに売却することはできません。
ローンが残っている車を下取りに出す場合は、この手続きが発生することを前提に話を進めてください。
5. 契約後 ― 登録のために用意する書類
契約を交わしたら登録のために必要な書類の作成および提出を行います。
| 書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 委任状 | 登録申請の代理人に委任する書類で実印の押印が必要です(下取車があれば2通) |
| 自動車保管場所証明書 | 警察で発行されるものですが、販売店に手続きを代行してもらうこともできます。自分で取得する場合は販売店に手続きをよく説明をしてもらいましょう |
| 印鑑証明書 | 発行されてから3か月以内のものを1通、下取車がある場合は2通必要です |
| 譲渡証明書 | 下取車がある場合にのみ必要で実印を押印します |
6. 納車受取り ― 最後にして最重要の確認
納車は「もらって終わり」ではありません。契約どおりの車が、契約どおりの状態で来ているかを確認する最後の機会です。
車の受け取りは店頭でも自宅に納車してもらっても構いませんが、必ず自分で受け取りましょう。
6-1. 車両の確認
契約時の状態と変化がないかチェックしなければなりません。新たな傷が付いていたり、依頼していた付属品が付いていなかったり、修理されていなかった場合には、納車の前に改善してもらいましょう。
注文書のチェックポイント⑤にあったとおり、納車遅れや納車時に購入者が立ち会わなかったために発生するトラブルは意外に多いのです。多少予定を調整してでも、自分で立ち会うことを勧めます。
6-2. 受け取る書類
| 書類 | 確認すること |
|---|---|
| 車検証 | 間違いなく自分が契約した車両か、自分の名義になっているかを確認しましょう(クレジット利用時は所有者名義がクレジット会社等になります) |
| 自賠責保険証書 | 保険証書は大切なものですから、名義を確認して必ず受け取ってください |
| 自動車税納税証明書 | 次の車検を受ける際に必要です |
| 保証書 | 保証付きのときは必ず受け取り、内容を確認してください |
| 定期点検整備記録簿 | 「定期点検整備あり」の場合に受け取ってください |
| 特定の車両状態を表示した書面 | a. 走行距離計を自社で取り替えた車両/b. 定期点検整備なしで、要整備箇所のある車両/c. 修復歴のある車両 の場合に受け取ってください |
保証書が出てこないまま「保証付き」と言われている状態は規約違反にあたります(保証期間中に故障した)。また、走行距離計の取替や修復歴は書面で示されるべき事項です(購入した中古車が「修復歴車」だった/走行メーターの巻戻し)。
7. まとめ ― 段階ごとのチェックリスト
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 見積書 | 税金・保険料・諸費用の内訳を見る。「納車準備費用」「クリーニング費用」「販売手数料」など、本来車両価格に含まれるべき経費が諸費用に入っていないか。支払総額で比較する。一度持ち帰る |
| 注文書 | 契約書を作らない店では買わない。車名・グレード、支払条件、保証と点検整備の有無、クレジット承認前に着手するかどうか、納車予定日、そして特約事項の契約成立時期。サインしたら原則もう解約できないと考える |
| 必要書類 | 委任状(実印)、自動車保管場所証明書、印鑑証明書(3か月以内・1通、下取車があれば2通)、譲渡証明書(下取車がある場合・実印) |
| 納車 | 必ず自分で受け取る。傷・付属品・修理箇所を受け取る前に確認。車検証・自賠責保険証書・納税証明書・保証書・定期点検整備記録簿・特定の車両状態を表示した書面を受け取る |
この流れをきちんと踏んでくれる販売店かどうかは、実は最初の見積書の段階でだいたい分かります。内訳を説明してくれるか、持ち帰らせてくれるか、特約事項を読ませてくれるか——そこが判断材料です。愛知県内であれば JU愛知の適正販売店 が目安になります。